異業種の2社、種苗や造園の「サカタのタネ」とアルミ建材の「昭和フロント㈱」が共同開発

『アクアヴェール®』

ヒートアイランド現象に象徴される都市の環境問題が顕在化する中、緑が持つ気象緩和機能や生態維持機能に期待が集まっています。

環境負荷の高い街並みの中にこそ、環境性能の高い緑化システムが必要であるとの考えから、環境工学と自然科学が融合した緑化基盤の追求により、建物のファサードと植物が一体となった緑の被膜工法ができあがりました。

ユニット化されたシステムは、気象条件や生態環境に応じた壁面の環境設定や植物選定を可能にし、水と光を活用した光合成のエネルギーによって緑が持つ力を最大化できるように設計されています。

『アクアヴェール』は、低炭素社会のサスティナブルな環境循環装置として次世代の都市環境を牽引し、都市で生きる人々に潤いと安らぎを提供します。

『アクアヴェール®』開発の経緯

低炭素社会に向けて増え続ける壁面緑化需要に対し、2008年にサカタのタネが幹事となり、店舗用アルミ建材の販売・施工を手がける昭和フロント㈱をはじめ、異業種企業が参加する「首都圏環境緑化研究会」を発足。

「建築物と植物が一体となった緑の被膜工法の開発」をテーマに開発したのが『アクアヴェール』です。商品化にあたっては、サカタのタネが総合プロデュースおよび緑化設計・製造を、昭和フロント㈱が基盤ユニットのケージおよびレールの設計・製造を担当しました。

『アクアヴェール』は、ユニット本体に軽量かつさまざまなカラーバリエーションに対応可能なアルミニウム素材を採用し、ユニット自体も額縁を模したデザインとすることで、建築物と緑化の一体化と、高い意匠性を実現しました。取り付けの方法や地震に対する安全性などの構造的な悩みも、“壁面緑化システム”としてご提案することで解決ができます。土壌には高い保水性と排水性を併せ持つ無機質軽量土壌『アクアソイル』を採用。

長期間にわたり良好な緑化が維持できるとともに、これまでの一般的な壁面緑化と比べ灌水量は約7割減、さらに剪定などにかかるメンテナンス費は約1/2に低減できます。また、夏季の外壁表面温度の上昇を抑えて熱負荷の削減に貢献できるほか、アルミニウムをはじめシステム全体がリサイクル可能な材料なため、環境に配慮した商品となっています。

植栽については、年間を通じて緑化を維持できるツルマサキ、ヘデラ、カレックスなど耐久テストにより選定した10品種をベースに最適な植物を提案いたします。

 

なお、商品名『アクアヴェール』は、フランス語のAQUA VERT=「水と緑」から命名したものです。

『アクアヴェール®』の概要

① 壁面への植栽ユニット取り付け方法や地震に対する安全などの構造的な悩みを軽量なアルミ製植栽ユニットと取付下地および無機質軽量人工土壌『アクアソイル』の採用により、建築物の外壁と一体化して解決する新システム。

② 植栽ユニット本体は軽量かつさまざまなカラーバリエーションに対応可能なアルミニウム素材を採用し、建築物のデザインと緑化の一体性を実現する額縁を模したデザイン。リサイクル可能なアルミニウム素材のほか、システム全体がリサイクル可能な材料であるため環境に配慮したシステム。

③ 壁面を緑化することで、外壁表面温度の上昇を抑制。下図は、耐火構造外壁パネルに『アクアヴェール』を取り付け、壁面の温度を測定したもの(2010年8月25日から8月27日-於 千葉県佐倉市)。緑化していない壁表面の最高温度は48.7℃、一方緑化した壁表面の温度は34.4℃。緑化することで壁面温度を最大14.3℃低下させることができた。

④ 保水性に優れ、植物の穏やかな成長を促す『アクアソイル』と、自動灌水装置、液肥混入器の組み合わせにより、一般的な壁面緑化と比べ灌水量を7割減、剪定などメンテナンス費を約1/2に低減。

⑤ 植物の特性に幅広く深い知見を持つ総合種苗会社が選定、耐久テストを実施した10品種の植物をベースに植栽を提案。

『アクアヴェール®』ユニット

ケージ
不織布パック
取付下地レール
『アクアソイル』